まず、人の髪の毛というものは皮膚が変化してできたものです。
毛は大きく分けて、皮膚の外に出ている「毛幹」と皮膚の下にかくれている「毛根」とに大別されます。
髪の毛が生えるメカニズム
毛根の根っこの部分にある「毛母細胞」と呼ばれる細胞があります。
そこへ血流によって多くの栄養成分、酸素、ホルモンなどの成長因子が運ばれます。
毛母細胞から細胞分裂を促してくれるタンパク質が生成されます。
こうして細胞分裂を促すことで「毛根」に新しい毛が頭皮の下側から作られていきます。
成長した毛根が外側に押し出されて毛幹となり、髪の毛が伸びていくのです。
髪の毛が抜けることなくどんどん伸びているときは、皮膚の下にある外からは見えない毛母細胞が極めて活発に細胞分裂を繰り返しているのです。
気になる薄毛の話
薄毛はヘアサイクル(毛周期)の異常が原因です。
まず髪の毛は一つの毛穴から産毛のような細く短い毛が生え、それがだんだん太く長くなり大体1日約0.3mmのペースで伸び続けます。
健康な髪の毛にも寿命があり、「成長期」「退行期」「休止期」と3つの時期に分けられます。
成長期とは
成長期とは活発に細胞分裂が行われている時期で、この時期に髪が伸びていきます。
健康な場合、髪全体の90%が成長期です。一般的に男性で2~5年、女性で5~6年続きます。
退行期とは
成長期で細胞分裂を活発に繰り返していた毛母細胞の力が弱まり、髪の毛が成長しなくなる
段階。
成長しきった毛髪が退行期に入ると、メラニンの合成が色素細胞によって止まるため、2~3週間かけて毛根内部の細胞が細くなっていきます。
髪を成長させていた毛母細胞の働きも急速に弱くなります。
全体の5%~10%が退行期にあたります。
ちなみに、この時期に健康な人でも1日平均50~100本の毛が抜けます。
休止期とは
退行期を終え、細胞分裂が完全にストップして髪が伸びなくなる時期。
休止期では、自然に髪の毛は抜け落ちます。毛は一切伸びなくなり、下から新しく成長期を迎えて生えてくる毛が休止期中の毛を押し上げて抜けていきます。
退行期と同じで、全体の5%~10%が休止期にあたります。
なぜ薄毛になるのか?
正常なヘアサイクルであればこの後、2、3ヶ月を経て再び同じ毛穴から発毛し、同じようなヘアサイクルで髪は成長していきます。
薄毛はこのヘアサイクルに何らかの原因で異常(成長期が短くなる)が起きている状態です。
成長期が短くなっているのに、休止期・退行期は変わらずに訪れるので、本来の髪の毛まで育たずに、抜けやすく、細く、短くなってしまいます。
成長期が短くなる要因としては食生活の乱れ、ストレス、ホルモンバランスの異常、です。
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